2020-11-30 11/30雑記 『ショーウインドウに明るんだ空が映っている。 そのさなかを、すうっと横切る鳥の一群。 あっと固唾をのんで振り向き、天羽さんは空を仰いだ。雁の群れだった。 小さな影が見えなくなるまで見送ったあと、再びショーウインドウを見た天羽さんは愕然とした。 雁の姿が一瞬かすめたウインドウの景色と、夜を徹して作り上げたディスプレイ。 まったく違ったものに見えたのだ。』 原田マハ『さいはての彼女』冬空のクレーン 角川文庫 2008.9