調教施設における格差

日本中央競馬会において中央競馬所属馬は日本中央競馬会規定の元、内厩制度(出走するレースの10日前(初出走場合は30日前)までに管轄内の厩舎に入厩させることが義務付けられている。)がとられている。調教は主に茨城の美浦と滋賀の栗東とで分かれており、西の栗東、東の美浦と呼ばれている。

管理者として調教師は厩舎経営を行っているが、最も西高東低と感じているのは現場で働く彼らではないのだろうか。検索したところ、馬主会ホームページに載っていた寄稿で調教師目線で知ることができた。

 

 

 

 

西高東低については美浦所属、国枝栄調教師も問題点をいくつか指摘している。以下、ブログより引用

特集「東西格差の問題点」 | コラム「人馬一体」 | 一般社団法人福島馬主協会

 

 

問題点1 馬房数

馬房数は、2224馬房である美浦に対して、栗東は2108馬房と、美浦の方が116馬房多い。馬資源が足りない時期でも、調教師1人あたりの獲得賞金ということでは関東の方が少なかったのですが、除外が続出する現在では、必然的により1頭あたりの出走回数、調教師1人あたり、また、1馬房あたりの獲得賞金が、関東の方が少なくなってしまう状況になっています」

つまり、関東は116馬房多いのにもかかわらず東京中山、阪神京都のレース数は同数。馬房数からいえば、馬房数差分約5%分レース数を増やすべきである。

 

問題点2 北海道開催における外厩数のハンデ

「関東の方が、関東全体の2224馬房でいえば約5%、馬房数が多いわけですから、北海道の馬房もその分多く割り当てられるべきはずなのです。ですが、現状では、全体の馬房数を関東と関西で二等分しています」

北海道開催における振り分け馬房数は栗東美浦とでちょうど半数。比率通りに振り分けるなら18馬房多くするべき。

ちなみに北海道シリーズ通しての1馬房平均収益は約2400万円、この差は大きい。

 

問題点3 調教施設の立地条件

北海道を除いた8競馬場へ遠征するときに、どの競馬場に向かうのも10時間以内ですんでしまう栗東に対して、美浦は交通事情によっては京都、阪神までは10時間以上、小倉までは18時間以上を要するわけです。

輸送に時間がかかればかかるほど馬体におけるリスクは大きく、輸送熱など見えない疲れがたまることが多い

 

問題点4 調教施設の構造的欠点

「一番の違いは、栗東の坂路は最初から2%の登り坂になっているということでしょう。最初から最後まで登り続けていますので、馬が勝手に走ることができなく、馬たちもそのことをよく理解しているのです。だから、栗東の坂路では、引っ掛かっていく馬たちをほとんど見かけることはありません。それによって、騎乗者が無理なく、馬とコンタクトを取ることができて、手の内に入れた形となりますので、馬に必要以上の負担を強いることなく、調教を行うことができるのです。とても使いやすいですよ」

美浦の坂路は西高東低の是正ということで距離が延長されたが、単純に馬の助走部分が伸びただけにすぎず、逆にかかりながら走る馬が多い傾向にある。JRAによると両施設の乳酸値は同等の値を示してはいるが、結果的に成績が変わらないという点で鵜呑みにはできない。

 

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栗東坂路は1986年に完成。その3年後の1988年には美浦栗東に抜かれ今に至るまで差が広がるばかり。

個人的には、東西の対決が楽しみでもある。この東西格差をなくしてこそ競馬はもっと面白く、レベルの高い競走馬の育成が可能になるのではないだろうか。